低忠実度プロトタイプと高忠実度プロトタイプの違いとは?
2024/03/27
忠実度(フィデリティ)の概念、低忠実度(ローファイ)プロトタイプと高忠実度(ハイファイ)プロトタイプの主な違い、そしてそれぞれのプロトタイプをどのような場合に使用するかについて解説します。
すべてのプロトタイプが同じように作られているわけではありません。例えば、低忠実度(ローファイ)プロトタイプと高忠実度(ハイファイ)プロトタイプ、どちらもそれぞれ異なる用途で役立ちますが、見た目や使い勝手が同じというわけではありません。
この記事では、忠実度(フィデリティ)の概念を掘り下げ、低忠実度プロトタイプと高忠実度プロトタイプの主な違いをまとめた後、それぞれのプロトタイプをどのような場合に使用すべきかを検討します。
忠実度とは?
プロトタイピングにおいて、「忠実度」という用語は、最終製品にどれだけ近い形で再現できているかを意味します。また、プロトタイプに含まれるディテールや機能のレベルについても指します。忠実度は、低忠実度(ローファイ)と高忠実度(ハイファイ)に分類されます。
低忠実度(ローファイ)プロトタイプ
低忠実度プロトタイプは、初期段階のアイデアやコンセプトを、最終的な製品がどのようなものになるか、より具体的な表現に進化させるための迅速でシンプルな方法です。低忠実度プロトタイプのゴールは、簡易的なフローを示し、提案した機能の有用性と使いやすさをチェックすることです。低忠実度イプロトタイプは、デジタルでも紙でも作ることができます。例えば、以下のようなものが挙げられます。
ペーパープロトタイプ
クリックスループロトタイプ
低忠実度プロトタイプの主な利点は、素早く、簡単に、手頃な価格で作成できる点です。変更や新しいイテレーションのテストが簡単で、誰でも作ることができ、プロトタイプは最終の完成形でないため、より良いデザインを生み出すことにもつながります。
低忠実度プロトタイプの欠点は、以下の通りです。
インタラクティブ性が制限されている
リアリズムに欠ける
ユーザーフィードバックに活用しにくい
完成品のユーザー体験を反映するにはあまりにもシンプルな場合がある
複雑な問題を単純化しすぎる可能性がある
そして、最も重要なことは、ユーザーが製品をどのように使うか(そして、この体験が何をもたらすか)をイメージするにあたり、ユーザー自身が独自の推測を行う必要があるということです。
忠実度の低いプロトタイプを使うのは、以下のような場合です。
プロジェクトの規模をいち早く知りたい
開発を始める前に、まずアイデアをテストしたい
アイデアをプロダクトチーム内に留めておきたい
それでは、低忠実度プロトタイプの主要な2つの種類、ペーパープロトタイプとクリックスループロトタイプについて簡単にご紹介します。
ペーパープロトタイプ
ペーパープロトタイプは、低忠実度なプロトタイプを作成するのに最も簡単でシンプルな方法かもしれませんが、だからといって、ペーパープロトタイプに価値がないわけではありません。ペーパープロトタイプは、まだコンセプトが未熟なうちにそのコンセプトを具体化するのに適しています。いくつかのスケッチを手早く描き出し、どのようにそれが見えるかを確認し、フィードバックを得ることができます。何か変更が必要な場合は、そのまま図面に戻って修正・再検討が可能です。
ペーパープロトタイプは素早く作成でき、価格も安く、デザイナーによっては鉛筆と紙を使った方がクリエイティブに感じられることさえあります。また、ペーパープロトタイプはかなり大まかにできているため、一般的に、完成されたデジタルプロトタイプを批評することに躊躇するような人たちから、より率直なフィードバックを引き出すことができます。
とはいえ、ペーパープロトタイプは開発の後期段階には適していません。紙媒体ではデジタル体験を正確に再現できないため、限界があるのは確かです。さらに、多くのデザインチームにとって、ペーパープロトタイプは少し不必要に感じられるかもしれません。いずれデジタルプロトタイプを作成するのであれば、わざわざ紙版を作成する必要はないということでしょう。
クリックスループロトタイプ
クリックスループロトタイプは、ペーパープロトタイプをワンランク上のレベルに引き上げ、ユーザーがより詳細なユーザーフローをテストできるようにします。つまり、クリックスループロトタイピングツールでは、UXデザインアプリケーションにペーパープロトタイプの写真をアップロードしたり、インタラクティブなソフトウェアウィジェットを使用してデジタルで再現したりすることができます。
ユーザーが見る画面ごとに、他の画面にリダイレクトする複数のホットスポットを作成できます。例えば、最初の画面がログインページで、ユーザーがログインすると何が起こるかを示したい場合を考えてみましょう。「ログイン」ボタンをクリックすることで、クリックスルーのプロトタイプは、ユーザーが次に見るであろう論理的なステップ/画面に移動します。
もちろん、クリックスルーのプロトタイプは、最終的な製品からはまだ遠いものです。しかし、ペーパープロトタイピングの大きな欠点の1つであるユーザーフローを体験できないという点を補うことができます。したがって、ペーパープロトタイプは、製品デザインの初期段階で使用できる、もう1つの有効な低忠実度なプロトタイピングモデルなのです。
ご自身でクリックスルーのプロトタイプを作ってみたい方は、FigmaやPOP(Prototyping on Paper)アプリのようなツールをぜひお試しください。
高忠実度(ハイファイ)プロトタイプ
高忠実度プロトタイプは、より高度なもので、その美しさと機能は最終製品にかなり近いものです。一般的に、完成品が具現化したいものをチームがしっかりと把握した段階で、ProtoPieのようなツールを使って、ビジョンを現実化するための高忠実度プロトタイプを作成します。忠実度の高いプロトタイプは、一般的に、実際のユーザーによるユーザビリティテストや、ステークホルダーから最終的なデザインの承認を得るために使用されます。忠実度の高いプロトタイプには次のような例が挙げられます。
コードフリーのデジタルプロトタイプ
コード化されたプロトタイプ
忠実度の高いプロトタイプの主な利点は、最終製品がどのようなものになるかをより深く理解できること、デザインの意思決定をそれぞれテストし検証するのに役立つこと、クライアントやステークホルダーからの賛同を得るのに適していることです。
一方、欠点は、作成に時間がかかること、コストがかかること、ユーザーがプロトタイプを完成品と勘違いし、誤ったバイアスを形成する可能性があることです。
高忠実度プロトタイプは、以下のような場合に使用します。
最終デザインを決定する前に開発を開始したい場合
テスト済みで受け入れ可能な低忠実度のプロトタイプがある
低忠実度プロトタイプを次のレベルに引き上げたい
技術者ではない人々にアイデアを売り込みたい
それでは、デジタルプロトタイプとコード化されたプロトタイプについて、さらに詳しく掘り下げていきましょう。
コードフリーのデジタルプロトタイプ
デジタル製品/エクスペリエンスを作成する場合、最終的にはデジタルプロトタイプを作成する必要があります。そこでデジタルプロトタイピング・ソフトウェア(ProtoPieなど)の出番です。ProtoPieを使えば、デザイナーは完成版の製品を細部まで再現することができ、最終的なユーザーインターフェイスを忠実に再現した、美しいインタラクティブなプロトタイプを作成することができます。
デザイナーは、そのデザイン/製品がどのように見えるか、どのように感じるかを示すことができ、製品チームは最終製品を発売する前に貴重なフィードバックを得ることができます。そのため、多くのプロダクトチームは、デザインプロセスの初期段階において、より迅速で簡単な代替案(ペーパープロトタイプなど)を好んで採用しています。
コード化されたプロトタイプ
コード化されたプロトタイプは、見た目も動作も、デザイナーが作成する最終的な製品に最も近いバージョンです。つまり、製品を市場に投入する前に、最終的なユーザーフィードバックを収集したい場合に最適です。
しかし、誰もがコード化されたプロトタイプを作れるわけではありません。多くのデザイナーは、誰かの手を借りなければ、このような忠実度が高く複雑なプロトタイプを作ることができないのです。
高忠実度プロトタイプはどのように作るのか?
忠実度の高いプロトタイプを作るのは、思っているほど難しくありません。実際、最近ではコードを書く必要すらないのです。
ProtoPieはコード不要のデジタルプロトタイピングツールで、デジタルプロトタイピングを可能な限り直感的に行うことができます。Adobe XD、Figma、Sketchなど、他のさまざまなデザインツールと統合されており、数回クリックするだけで、既存のすべてのデザインを簡単にインポートできます。シームレスなデザインワークフローと、膨大な数の変数と数式を活用して無限の可能性を提供する独自のコンセプトモデルにより、スキルや経験のレベルに関係なく、誰でも美しいプロトタイプを作成できます。
忠実度の高いプロトタイプを、低コストで作成してみましょう!